Shiya Zhao 特定助教、藤森教授らが社会の脱炭素化に伴う貧困・格差への悪影響とそれに対する炭素税収の有効性が明らかにについてプレスリリースを発表しました。(2025年8月)
異常気象が常態化し、温暖化影響がますます顕著になってきており、各国は脱炭素化社会へ向けてより一層の対策強化が求められます。しかし、脱炭素化は一定程度の経済負担とエネルギーや食料価格の上昇を招き、貧困や所得格差へ悪影響を及ぼすことが懸念されます。そこで、都市環境工学専攻のShiya Zhao(趙 詩雅)特定助教、藤森真一郎教授ら、立命館大学総合科学技術研究機構の長谷川知子教授、国際応用システム分析研究所(オーストリア)の国際共同研究チームは複数のシミュレーションモデルを用いて、長期的な将来の脱炭素化による世界180か国の貧困や格差への悪影響を定量化し、それに対する対応策として期待される炭素税収の還元がどの程度有効かを検討しました。結果は炭素税収を貧困層に還元することで多くの国で貧困の撲滅、格差の縮小を実現できる可能性が示される一方で、アフリカ諸国ではそれでは不十分であることが明らかとなりました。途上国の脱炭素化施策は、単純なエネルギーシステムの変更だけでなく、貧困や開発等の社会の多元的な側面への配慮をしつつ、国際的な協力体制もカギになると考えられます。本研究は2025年8月27日に、国際研究雑誌『Cell Reports Sustainability』で発表されました。
【京都大学ホームページ研究成果】https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20250911
【藤森研究室】https://www.athehost.env.kyoto-u.ac.jp/
【論文】https://doi.org/10.1016/j.crsus.2025.100487
