流域圏総合環境質研究センターHPでの「滋賀県における新型コロナ下水サーベイランス」調査データ公開開始

京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センター(以下、京大流域圏センター)は、HP(https://www.eqc.kyoto-u.ac.jp/)にて、これまで調査研究を続けている滋賀県における新型コロナ下水サーベイランスデータの公開を令和5年8月21日から開始しますのでお知らせします。

感染症ウイルスに感染した多くの人は、鼻水や唾液にウイルスを放出するだけでなく、糞便にもウイルスを排出しています。これらのウイルスは下水とともに下水処理場へと集まるため、下水中のウイルス量を調べることで地域の感染状況を把握できると考えられます。これを下水サーベイランスといいます。新型コロナウイルス感染症に関しても、下水中の新型コロナウイルス濃度を調べることで、感染しているが無症状のために医療機関を受診していない人(不顕性患者)や、症状があっても検査を受けていない人を含めた地域の流行の全体像を把握することができると考えられます。京大流域圏センターでは、令和4年1月より、滋賀県や大津市にご協力いただき、滋賀県内複数の下水処理施設(滋賀県湖南中部浄化センター、東北部浄化センター、高島浄化センター、湖西浄化センターおよび大津市水再生センター)において新型コロナに関する下水サーベイランス調査を実施してきました。調査は京都大学の西村文武教授、遠藤礼子招聘研究員、田中宏明名誉教授、高知大学の井原賢准教授、株式会社日吉、株式会社ウォーターエージェンシーの共同研究グループによって実施してまいりました。京大流域圏センターの下水サーベイランスHPでは、国土交通省事業および内閣官房実証事業の一部として取得された滋賀県内処理場における下水サーベイランス調査データも活用しています。同グループが参画した令和4年度の内閣官房「下水サーベイランスの活用に関する実証事業」(https://corona.go.jp/surveillance/)では、下水サーベイランスが感染状況の現状把握に関して既存のサーベイランスを補完するものとして利用できる可能性があることが示されました。

京大流域圏センターHPでの下水サーベイランスデータ公開は、滋賀県や大津市など関係行政機関や地域住民の皆様に当該地域における新型コロナウイルス感染症動向を知っていただき、活用していただくことを目的に開始するものです。令和5年5月に医療機関における全数把握が見直されて定点把握に移行したことで地域の感染状況の全体像を把握するのが困難となる場合などに下水サーベイランスによる感染動向の把握は特に有効と考えられます。

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